スポーツバイオフィードバック


講義概要

スポーツバイオフィードバック(以下:BF)は、スポーツや武道で頂点を極めようとするトップアスリートに不可欠な精神性の向上を目標とした授業である。

「大きな試合や大会も、練習時と同じ感覚でいどむことが大切である」このことはスポーツを行っている者にとっては、当たり前のことであるが、実際に競技場に行き、対戦相手を目前にすると、意識とは関係なく、自然と緊張してしまう。試合には、ある程度の緊張は必要であるが、過緊張(緊張のしすぎ)は、拮抗筋(使いたい筋肉の逆の働きをする筋肉)を刺激し、発揮できる力を阻害してしまう。

BFは、心拍数、発汗量、筋電位、呼吸、脳波の変動等の生理反応を、BF機器を用いて測定し、その変化をグラフや数値の変動として、瞬時にスクリーンに映し出すことにより、精神性を把握し、それに対し抑制、制御を試みようとするものである。

スポーツでトップを目指し、頂点を極めるには、体力、運動能力に加えて精神性も向上させなければならない。緊張(精神性)が身体に与える影響は微小であるが、全国大会、世界大会などで優勝を目指す者には、この微小な影響も許されない。

BFは、今まで不可能とされていた精神性を可視化し、抑制、制御を試みることにより、不必要な筋緊張などの発現をおさえ、全力を発揮することのできる精神性を知覚する為の演習である。

到達目標
・自分の精神を制御できるようになる。
・大会や試合で緊張しない自分に変える。
・不必要な筋緊張を抑える能力を身につける。
・いざというとき、余裕を持って戦える自分を作る。
・精神性という不可視なものを科学的に理解する。
・自分の中に生まれるあせりや緊張を抑制できるようにする。

■講義計画

第1回 BF導入、そのような授業か受講などについて
第2回 BFの歴史
第3回 精神性の可視化
第4回 武道、スポーツとBF
第5回 体温の変化について
第6回 心拍変動と自己制御
第7回 不必要な筋緊張の発見
第8回 筋電位変化と自己制御
第9回 発汗量の変化と自己制御
第10回 不必要な筋緊張の抑制と克服
第11回 呼吸数、呼吸量の変化と自己制御
第12回 精神状態の変化と心身の変化に関する演習
第13回 精神状態の変化と心身の変化に関する演習
第14回 精神状態の変化と心身の変化に関する演習
第15回 精神状態の変化と心身の変化に関する演習

■成績評価の方法・基準

定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。
止む終えない事情による欠席(事前連絡必要)以外、皆出席を原則とする。
事情のない複数回数の欠席者・遅刻者には単位を認定しない。


■備考

BFは、運動生理学、精神生理学、大脳生理学、心理学などが大きく交わる領域の学問である。BF機器を用いて演習をおこなうことにより、自己の精神状態と生理状態の相関に気づき、心と体の相関を認識し、不必要な筋緊張をおさえ、最高の能力を発揮する糸口を見いだす事を目標とした授業となる。
この授業をおこなう最適な人数は、機械に対して数名が限度である為、受講生が多い場合は、演習を交えながらも講義を中心とした授業となる。

 更なる跳躍を望むトップアスリートに受講をすすめる。

授業内容は受講生の意見を取り入れ変更する場合がある。
抽選科目であるが、是非とも受講したいという学生は
zako@kansai-u.ac.jp
へ連絡すれば、内容を紹介する。

参考:日本バイオフィードバック学会 http://www.jsbr.jp/modules/intro/。

      1968年 ハーバード大学(生物学)卒業後 ニューヨーク大学で心理学博士号取
 得マサチューセッツ工科大学及びスタンフォード大学付属研究所の心理研究員とな
 る。1976年よりサンフランシスコ州立大学 健康教育学部教授・ホリステック医
 療研究所長等を歴任し現在に至る。米国バイオフィードバック学会 会長,欧州バ
 イオフィードバック財団 理事長,2004年 カルフォルニア州知事賞受賞
 Biofeedback 第一人者 : エリック・ペッパー博士 サンフランシスコ州立大学教授 2008年関西大学にて講演